先週末の土曜日、店の営業を臨時休業とさせていただき
早朝から深夜まで岡山県を走り回ってきました。
今回の岡山訪問にはいくつか目的があったのですが、今日のエントリーでは
最後の訪問地で拝見したこちらの展示、そして会場についてご紹介したいと思います。
他の目的( 年末に開催される個展が正式に決まったこと、など )については、
後日あらためてご案内しますので、こちらもどうかお楽しみに。
小林和人( Roundabout / OUTBOUND )
会場;2会場構成
「 具体的な機能 」編 @ CAFE DU GRACE
「 抽象的な作用 」編 @ 御茶屋跡
会期;2015年 5月16日 〜 6月14日
日々の暮らしの中で私たちを取り巻く物の「 用 」とはなんでしょうか。
ある特定の目的を実現する為に必要な条件を整える「 目に見える具体的な機能 」
そして、観る者、触れる者の精神、またはその物の置かれる環境に豊かさや
価値をもたらす「 目に見えない抽象的な作用 」。
物は、常にこのふたつの働きの胚子を宿し、使い手との関わり方により、
時に機能し、時に作用すると考えます。
※ 本展示開催に当たっての小林氏のステイトメントより抜粋
この展示がこけら落としでもある「 御茶屋跡 」は、江戸時代には貿易港として
栄えた岡山県瀬戸内市の港町・牛窓の外れに建つ、歴史ある日本家屋。
ここ数年、「 抽象的な作用 」として表現されているものに近いだろうものを
ひとつのテーマとして追っている私としては、同世代随一の目利きだと思っている
小林氏がどんな道具・物体、設えで空間を編集するのか、強い関心がありました。
そしてその関心と期待は、見事に( 良い意味で )裏切られることに。
こんな画を目にしたら、否が応でも期待値が上がるというものです。
こちらは裏手。展示会場はほぼ全館( 1・2階と蔵 )を使っています。
このロケーションだからこその景色が広がっています。
この借景とその活かし方がとにかく素晴らしく、密度の高い/濃い
展示内容を適度に中和してくれたり、展示作品や物体の新たな側面や魅力を
引き出してくれていたりしています。
credenza_CASA の会場も庭、そして中庭を広く望むことができることで、
そこに漂う空気はもちろんですが、モノの持つ表情、佇まいも大阪で見る
それとは随分と違っていたりもします。
光の差し込みが弱い一階は陰影が濃いのに対し、二階はトップ画像のように
しっかりと陽の光が差し込むので、作品や場の空気も緊張が和らいだかのように
感じられます。そんな和らいだ表情も、日が沈むことでガラッと様変わりします。
そして内観。
特別に遅い時間まで開けられていました。
※ 事前のご予約があれば、7.pm までご案内いただけることになったようです
闇夜を背景にした展示は、昼間のそれとは全く違う表情でグッと艶っぽいものに。
刻一刻と移ろう時間の流れに合わせ、この場の空気、そして景色も少しずつ
変化していきます。陽の入り方、気温・湿度の変化、外から聞こえてくる人や鳥など
生き物の声・・・その移ろいをより敏感に感じ取るための場でもあるかのようです。
長居してしまうことは確実です。
こちらを中心に一日を過ごすぐらいの気持ちで、ぜひ脚を運んでみてください。
その価値がきっとあるはずです。
posted by;堀